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長崎はアメリカを支持しない 2001/9/18記

  米国で起きたこのたびのテロ事件は絶対に許せない。私たちは人として、このような暴力を支持するわけにはいかない。 
 それにしても、世界中がアメリカの報復戦争を支持すると言明するのは何事だ!世界中が狂気に陥っている。
 十年前の湾岸戦争。イラクが国境を越えてクウェートに侵攻し、石油施設が破壊され重油が海に流出した。しかし重油の海にもがく鳥の映像はアメリカの作り物であったと、後になって分かった。地球環境破壊というイラクの非常識を諫めるのに、世界中の支持を得て米軍は多国籍軍を組織して打ち上げ花火のようにミサイルを浴びせた。そのミサイルで何人の人々が亡くなったか知っているか。
 半世紀前の太平洋戦争。日本の負うべき責任は永遠に消えない。しかし(世界中が狂気だったといえ、これも許されないことだが)広島の原爆で大勢は決した。戦勝国側について分け前にあずかろうと、広島の翌日、降伏目前の日本に、中立を破り侵攻した大国ソ連も情けないが、ソ連の参戦で戦争が終結したのでは都合が悪いと、ダメ押しの二発目の原爆を落としたアメリカはさらに情けない。
 もはや降伏しかないところに来ていたのに、玉音放送に駆け込むように、戦後処理でソ連に優位を保つためだけの悲しい原爆は私たちの住むまちの上空に投下された。太平洋戦争を終わらせるために仕方がなかったとはアメリカの弁であるが、その説明は広島だけでたくさんだ。
 アメリカは、真珠湾攻撃を事前に察知しながら、民間人に避難を呼びかけることもせず、逆に国威昂揚に利用したことが、今となっては事実として証明されている。
 連日流される貿易センタービル崩壊の映像。けなげなアメリカの国民は、何か手伝えないかとボランティアに駆けつけている。それなのに国家としてのアメリカは、それをも戦争を正当化する理由に利用している。 
 「戦争反対」は長崎県民にしか通用しない常識なのか。