前ページ:花巻 青草子2号目次 次ページ:東京

    

■大船渡へ(移動しながらの昼食)

乗換駅のホームで駅弁を食べる松坂・霜田副委員長・内田委員


 花巻を出るとJR東北本線から一関で乗り換えて、JR大船渡線で内陸部から太平洋三陸海岸のほうに抜けるわけだ。車中、午前の視察の感想を記したり、「銀河鉄道の夜」も読み終えて、昼食は駅弁だ。

 ご無沙汰の友人たちに花巻の絵葉書で近況を知らせる。すっかり旅気分だ。列車の旅はつづく、宮城県との県境に近いから、途中宮城県気仙沼も通過する。そういえばまちづくりで知り合った気仙沼の彼は元気かな?と回想シーンも多い。あとは移動だけだから、ネクタイをはずして明日の大船渡視察までのんびりだ。

 大船渡に着くと、まだ夕方4時だった。ホテルに荷物を置くと(こちらはビジネス風の個室である。)夕食まで各自自由ということになった。

■大船渡の商店街(スタンプをやっている!)

大船渡市は合併の事例地である。数年前お隣の三陸町を編入して現在の大船渡市に至っている。人口規模も島原・有明に近い。その大船渡市の商店街はどのようか、翌日の研修に備えてまず自分の目で商店街を見ておこうと、単身町に繰り出した。

 まず商工会議所まで足を運んで、職員の方を捕まえて率直な意見を伺った。僕が島原市議で明日は公式に行政視察もすると身分を明かすと、「正式には・・・あくまで私的な意見でして、」と言葉の歯切れが悪くなった。まあ無理もないかなあと感じながら、概して合併したからここが変わったというものはほとんどないような印象だった。

 商店街を歩くと「サーモンスタンプカード加盟店」のステッカーを見つけた。でも商店街全店が加盟しているわけではないようだ。スタンプ会の事務所を訪問して、さらにスタンプ会の理事をなさっている海苔屋さんの方にお会いして、スタンプの現状、合併の影響などお話をうかがった。例のチリ沖地震だったか三陸大津波の災害を経験していることが普賢岳災害に通じるものもあり、採用しているスタンプが私たち島原がんばスタンプと同じ東京烏山(からすやま)方式ということもあって、大いに盛り上がり、がんばスタンプにエールを送っていただいた。「無理にカードは導入しないことです。シール台紙式が基本ですよ。」と念を押された。

■大船渡三陸支所(編入された側の事情)

 この報告の主眼は、議会の視察ってどんなもの?ということでありますから、(視察の細かい内容は触れませんが、必要な方は資料あります。)概略をレポートしております。大船渡については、その内容が私たち島原市民・有明町民にもおおいに参考になると思われますので少し詳しく紹介します。

 旧大船渡市は36500・旧三陸町は8500編入合併によって2年前に合併し、45000で新大船渡市。人口比はまさに島原・有明の参考事例である。合併直前に町議選のあった三陸町は条例数20を16に減らす条例改正をして町議選。編入・在任特例が確定してからの選挙だったから、当選町議は市議に格上げされて、大船渡市議の残任期間(2年強)が任期。

 定数減をしたこともあって、在任特例はさほどの混乱もなく受け入れられた。(有明の定数減もこうした流れで解釈できる。)新市最初の選挙は選挙区を分けることのない一般選挙で新条例数26で争われる。現在在任特例数40名の大所帯が26に減るとあって来年4月の市議選を前にすでに町には「なまえ」看板があふれ過熱気味という。(2003/12の情報)

 視察研修は、編入された側の三陸町支所(旧町役場)で行われた。本庁の担当が別件で対応できなかったこともあって、旧三陸町の職員の方たちが対応してくれた。ある意味政治家たちのエゴや利権に振り回された役場職員と住民の悲哀が感じられる研修であった。

 三陸町生まれで教員出身の大船渡現市長は広域合併を公約に当選した人で、ここもまた当初の2市2町が崩れ1市1町になったわけだが、三陸町への配慮をいつも忘れずおいでとのこと。窓口業務など住民サービスは全く低下していないと断言しながらも、どうしてもいろんな会合は大船渡に移動し、職員も毎年50名規模で本庁に統合され、支所の職員数は激減し、周辺の寂れようは目を覆いたくなるとのこと。役場周辺の経済(民宿や食堂)は低下してしまった。

 今まで職員の車は裏手の駐車場に停めて、正面駐車スペースは町民優先としていたのを、今は役場(支所)が休業しているように思われるから逆に正面に停めるようにしているという。くたびれた支所庁舎の裏手にデラックスな公民館ホールのようなものが出来ていて対照的だった。

 町の声を聞くための「地域審議会」を設置したということで有名な三陸町であるが、(それゆえに視察も多いと聞いたが)議決権も何もない地域審議会は町内会長会議的な感じを受けた。印象批評はよろしくないが、やはりまずは合併に当たって、「相手を思いやる」精神こそが大事。編入する側が、編入される側の立場に立って具体的実行を伴った思いやりが大切だと心に刻む研修だった。

 島原がどれだけ有明を思いやることが出来るか。(間違ってはいけないのは政治家を思いやるのではなく、)有明の町民、有明役場周辺の食堂や商店にどれだけ想像力を持ちうるかである。市役所(役場)前で商売をしている松坂が一番承知していることだ。一方で広域合併は進めなければならないのも事実。正念場だ。

次ページ