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市議選レポート

■対策会議(選挙カー2)

 「中学生の娘が名前の連呼はイヤだといったから、立候補にあたって子供に約束したんだ。」と切り札を切ったつもりだが、「大人が決断するのに子供の意見を聞くのか!」「名前の連呼を、押さえたらいいじゃないか。」どんどん選挙カーに接近していく。(ただし、「俺が選挙カーと人員の手配をするから任せろ」の言葉は出ない。)大勢は選挙カーになってきた。

 全体が重苦しくなって、押し黙ってしまったイトコ(の子)のY子に発言を求めた。「まさおさんらしさがない」と、ぽつん。続いてT君が「松坂は変人で通っているから、変人のままでいいのでは。」続いて「自分は素人で分からないけど、松坂さんらしいのがいいと思うけど、現実は違うのかなあ。何か寂しいけどそれが現実かな。」とK君。

 H君再び勝つための選挙を説いて、「最終決断はまさおさんがしなければダメだよ。」と。
大多数を納得させることが出来ないまま、私は少数意見を尊重した。3人の発言には心打たれるものがあった。大多数の意見は一般論で、私という個人を考慮していないのに比べ、3人は松坂まさおらしい選挙像を描いていた。ともかくも「選挙カーは出さない!」と断言して最初から会議は波乱含みだった。

 名前の連呼は意味がない。うるさいばかりでうんざりだ。どうしても学校や病院に迷惑をかける。昼間寝ている夜間勤務の人だっている。選挙カーで票は捕れないが選挙(スタッフ)を盛り上げる効果がある。とにかくタダで車が使える。選挙カーについてはその後も(最初に会議に参加した人でさえ)復活の動きがあって苦労した。実は人員配置が難しければタクシーを雇うことも可能なのだ。親戚にタクシードライバーもいるから、街頭演説主体で効率よく移動するならこれも考えていいはずだ。タクシー屋さんにとっては経済波及効果というものだ。

 ところが、私たちがそうであったように「え〜っ、タクシー代も出るの?!」と会議の席は騒然となった。タクシー使っている候補はすごい金を使っていると思っていたというのである。タクシー(選挙カー)代は自己負担ではない事を告知しなければ金をかけた選挙と思われる、かといって「車代は税金である」と触れて回っては「税金を使って騒音を垂れ流しているのか」と批判され、他の候補からも嫌がられるだろう。選挙カーに公費補助があっていることを知る人は少ないのだから、なるべく安っぽい小さな車を借りてスピーカーは付けず、名前だけ大書して移動用車にしようなど妥協案が出てきた。

 変人松坂を認めるT君が言った。「車代を寄付させて看板にするというのは一般市民からすれば結局税金を目的外に使う流用でしかない。1日何万円か貰えるからといって策を弄するのは、それこそ松坂らしくない。中途半端はやめよう。」と。貧乏な私にはのどから手が出るような何十万円かであるが、ここに至って私はようやく確信が持てた。選挙カーは出さない!

 後日、朝日新聞島原販売店が出しているチラシ(北の風15号4/29)に投書が載っていました。「立候補される方々の"名前のみの連呼"は、害あって一利なしかと思います。廻りの意見も同様だと思います。(街頭演説の)立候補者の意見を家の中より耳を澄まして聞きました。有権者は真面目な方を望んでいるのです。理由があり個人演説会には行けない者も大勢います。ただ"名前のみの連呼"は無意味だと思います/城内一主婦」このチラシは私の不安を和らげてくれた。

結果で判断してはいけないが (女性の意見と自分の判断)

当選してしまえば、街頭演説(辻立ち)を主体とした選挙は正しかったことになる。選挙カーによる名前の連呼をしなかったことも、票を集めた勝因である。お金をかけなかったこと、(お金がなかったこと)、お酒を出さなかったこと(お酒を出すことは、本来選挙違反だけれど、各自が持参した酒を事務所で飲む分にはおとがめが無いなど、抜け道は色々ある。)、立候補の決断が遅かったために、十分な準備が出来なかったことさえ、短期決戦で集中できたなどと、全てがいいように解釈される。

 落選していれば、「だから後援会の看板(40センチ×150センチ)をあちこち立てろと言ったろう。」「選挙カーを出さないことは島原じゃ無理だったのだよ。」「町内会や商店街の組織を作って炊き出し割り当てをして、日当も出すべきだったのだよ。」「新聞の広告も出せと言ったでしょうが。」「個人演説会は無意味と言ったでしょう。」「名前の連呼だよやっぱり。」「ホームページなんかでカッコつけてもダメだったのサ。」「1市16町対等合併はもう少しぼかして言えと言ったろう。」「公報は誰も見なかったってことさ。」「だいたいそのバンダナがいけなかったのだよ。」「結局カネがなきゃダメさ。」「そもそも松坂の普段の行いだよ、要するに人望がないのだよ。」敗因は山のように出てくる。

 しかし、あえて当選したから言える印象を述べておけば、
「女性の意見を尊重して、自分で判断することが大切だ。」と言っておこう。
これは一般論で、個人差は男女差を超えるのであるが、概して以下のような感想の印象であった。(投票行動に結びついたかどうかはわからない)

選挙対策 松坂陣営 多くの女性 多くの男性
選挙カー 使用せず やかましいだけ 景気づけになる
看板(40*150) 本拠地のみ 見苦しい サブリミナル効果がある
選挙公報 力を入れる 詳しくても読む すっきりしないと読まない
政策資料 詳しく 読んでくれると思う ほとんど読まないだろう
質素か派手か 質素 質素(手づくり) 派手
※バンダナ はずさない まちづくり仲間は「はずすな」、年配者は「心配」

 もちろん男女とも共通して、街頭演説、個人演説会やるべし、後援会カードによる名簿集めもやるべし。私もそれは忠実に受け入れた。

 日当や茶菓については、相談をせず、始めから無いと断言し、あとで請求書や領収書を持ってきても払わ(え)ない。と、確認した。

■事務所(店の2階)

 事務所はわかば写真館ビルの2階を使った。まあ、要は自宅であるがこの場所だけは大手広場に面しており、費用をかけずに済み、恵まれていた。(店が法人組織なので、貸しビル規定により松坂が店にテナント料を支払った。)いかなる理由があっても禁酒とした。      

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