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19 2002/4/28 堀の周りの遊歩道

 島原城の城郭は重要な歴史遺産です。天草四郎軍の猛攻にも耐え、寛政の大地変にも揺るがなかった島原城の石垣は建築構造物としても全国有数の文化財であります。
 そして街なかにありながら、開発という名のコンクリート攻撃に辛うじて耐え、緑の自然を残してきた貴重な聖域であります。
 今も多くの市民に愛されて、早朝のお堀の周りを散策する者あり、夕方トレーニングでジョギングする学生あり。夜間健康づくりのウォーキングも結構盛んです。
 全国どこを探しても、だいたい池や堀の周りは「遊歩道」と相場が決まっています。道との合流がすべて「T」字路になり車に横切られる心配がないから当然の帰結であります。
 行政も市民の健康が一番ですから、歩行者の安全を考え、遊歩道を整備するわけです。普通の歩道をどんなに整備しても、十字路だらけの街なかでは遊歩道にはなり得ません。だからこそ池や堀の周りは遊歩道になる必然があるわけです。
 ところが残念ながら、なぜか島原城の堀の周りには遊歩道がありません。市民は車に追い立てられながら、窮屈な散歩・危険なジョギング・命がけの健康づくりを楽しんでいます。僕はいつも、悲しい交通事故が起きなければいいがと心配しています。
 「そんなに狭い道なのですか?」と質問されて、対面両通行だと知らされた人は「そんなばかな!」と驚きます。「なぜ一方通行にしないのか?」と。
 一周一キロメートルにも満たないから、車でどんなに遠回りしても二分はかからないし、周回コースだから必ずどの道にでも抜けられるのです。一方通行になればお堀の周りにゆったりとした遊歩道が確保され、市民は自然を満喫しながら安全な健康づくりができ、旅人も歴史散歩が楽しめます。
 市民はようやく歩くことの大切さに気付き始め、何よりも今の島原の行政は歩行者優先の街づくりに大変積極的であります。
 堀の周りの遊歩道は、そう遠くない将来、実現すると思います。