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14 2001/11/11 インターネット

 アフガンの民間施設が頻繁に「誤爆」されて、すっかり「誤爆」という言葉が定着したように見えるが、まだほとんどの辞書にはこの言葉は採録されていない。
 二年半前、NATO軍がユーゴの中国大使館を爆撃した翌日の長崎新聞ではじめて「誤爆」という語に接した。「誤って爆撃」という意味はすぐに類推出来たから、新造語をとやかく言う気はない。しかし事実報道を基本とする新聞が、NATOの言い分だけで「誤爆」は無かろうと思い、他紙を見比べたら目にした全ての新聞で一斉に「誤爆」を見出しに使ってあり、新聞人の常識の無さに絶望した。
 細かく記事を読めば、爆撃の事実・NATOの言い分(誤爆撃)・逆の言い分(狙い打ち)が一応並べてあるのだが…。近頃の戦争報道で同じことを感じている読者も多かろうと思う。
 テレビに至っては、新聞の細かい記事の部分は、コマーシャルとスポーツ報道にかき消されて、事実さえ伝わらない始末だ。カード破産やサラ金苦自殺があとを絶たない昨今、ニュース番組には特番を期待しているが、スポンサーに遠慮して「ご利用は計画的に」で終わっている。
 ここにインターネットが登場する。僕は当初、インターネットで得られる情報は、高額な費用をかけてホームページを作ることの出来るスポンサーの言い分だけだろうと多寡(たか)をくくっていた。ところが、僕のような超ど素人でも簡単にお金をかけずに、だれの干渉も受けることなく、ホームページが作れる時代になった。だからインターネットの中には、本当のこと(真実)が生のまま詰まっている。怖いこわい。
 例えばGoogleという検索帳に「松坂昌應(応ではダメです)」と入力すれば、十六億のホームページから、僕のホームページを探し出してくれるから驚きだ。そしてボタン一つでたどり着く。「森岳商店街」で六十四のホームページに登場する。井の中の蛙(かわず)は世界中から見られている。その一方、ボタン一つで世界中に情報発信をしているわけだ。うーむ。