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視察研修レポート    

■花巻温泉の夜

 実は、自分は20年ほど前に花巻は訪れたことがある。教員をしていたころ、(茨城県つくば市茗渓学園)国語科同僚教員たちと教科旅行で、賢治の教室などをたずねた。ただ、その時どこに泊まったのか記憶が定かでない。同じく修学旅行の生徒引率で平泉なども巡ったことがあり、岩手は懐かしいところだ。

 街中からかなり離れた湯元の温泉街で大きな3つのホテルの一つに宿泊した。3つのホテルはひとつの観光グループ会社で統括されていて、花巻温泉観光の中心的企業の一つかなと思われた。宿に着いたときはもう夕方で、部屋に荷物を置いたら、食事前に温泉街を散歩して、一風呂浴びて、という時間帯。問題は部屋割りだ。部屋は3つ。

 坂本さんの提示した部屋割り案は

野田さん・霜田さん・松井さん 内田さん・松坂 前田さん・坂本さん

自民・非自民・理事者というわけ方、まあまあ妥当なところ。とりあえず「ほっ」

 昔はどうだったか知らないが、人口7万を越える花巻市の温泉街にしては宿の周りはさびしかった。ホテルグループが運営しているらしいホテル周りのバラ公園や宮沢賢治詩碑などを内田さんと散策した。内田さんは植物などに造詣が深く、木を見ても花を見てもいろいろコメントがあって勉強になる。実りの季節なのに稲穂が垂れていなくて立っている、と東北農民の窮状を嘆いておられた。(翌日だったか歴史的な冷害不作が報じられた。)

 夕食後、飲みに行きましょうということで「夜の花巻温泉街」に繰り出そうということになった。ところがホテルを出るとそれらしき店がほとんどない。かといって市内までタクシーで繰り出す元気な輩はいない。日本全国どこにでもあるのが24時間コンビニ、コンビニで缶ビールやつまみを買い込んでホテルに戻った。

 ホテルに戻ると僕の政策秘書(妻)からファックスが届いていた。深江町議の北尾和敏さんが島原新聞に「合併についての提言」を発表したというホットニュースだ。自民部屋に押しかけて全員でビール交流を深めた。北尾さんの提言もまな板に載せて、合併論議も挑みかかるが、すでに有明との編入を譲らない自民三氏の壁は厚い。

■花巻視察(花巻温泉と宮沢賢治)

 翌27日花巻市議会事務局の担当職員がホテルまで迎えに来てくれました。

 花巻市役所の会議室に案内されて、先方の議会事務局長から花巻市の説明があり、質疑応答があり、市中に出て、宮沢賢治記念館など観光の核施設を案内していただいた。

 本レポートの目的は、視察先の視察内容の報告ではなく、新人議員松坂が参加した初めての委員会視察旅行はどのようなものだったのか、それを一般市民に分かりやすく報告しようというものでありますから、旅行記風になっております。ご了承ください。視察の細かい内容については、私個人の中でとどめており、印刷物にはなっておりません。知りたい方には分厚い資料をお見せしますのでお気軽に声をかけてください。

 昨日までノーネクタイで過ごしたが、本番はネクタイを締めて。並べられた資料は先方の観光パンフレットなど。その中に貴重な資料がある。島原市と花巻市の基礎データの比較資料だ。実はこの資料、坂本さんが島原の部分を書き込んだものを事前に先方に送付しておいて、受け入れ事務局が、それに対応する花巻市のデータを記入して(合作で)作った資料を刷り増したものだ。

 どうやらこれは議会間の視察の定番資料で、議会視察の基本らしい。こうした資料の存在を視察先で初めて知るという新人。先輩議員たちは当然の顔でこの資料をめくる。先方の人口や面積、観光宿泊者数など聞いても肝心の島原と比較できなくては話にならない。島原の基礎資料(市勢要覧のようなもの)を持っていかなかったことを後悔していた矢先のことだった。
(28日大船渡の例で抜粋資料を後に載せたので参考にしてください。)

 議会の長い歴史の中で、この資料交換の習慣などは、守るべき伝統の一つであろう。こうしたきちんとした数字を目の前において、先方の事情を聞けば単なる印象や思い込みではなくて正確な理解も得られるものだ。

 花巻は宮沢賢治生誕○○年祭ということで、子供だけでなく若い女性、私のような中年ロマンチスト(?)まで幅広い人気を持つ宮沢賢治を全面に押し出して、観光キャンペーンを展開していた。賢治のテーマパークと宮沢賢治記念館に案内してもらった。こうした施設運営の苦労話も聞きながら、心ひそかに賢治ワールドを楽しんだ。

 銀河鉄道の夜。この時点でまだラストシーンにたどり着いておらず、主人公ジョバンニと友人カムパネルラが銀河鉄道の列車に乗り合わせていることの意味は?乗り合わせるほかの乗客は、過去の人、大きな事故に出会った人、不吉な予感が走る。二人の運命はどうなるんだろう。

 花巻市役所の賢治にも詳しそうな若い職員に話を伺いながら、ありがたいものだと痛みいる。

写真説明
・セロ引きのゴーシュのセロの前で(賢治記念館)
・よだかの星のオブジェの前で松井議長と
・ギャルたちの間をぬけるおじさんたち?











  
 賢治の描いた時代、東北地方もけして豊かではなく、それでも賢治の世界の子供たちの心には豊かな世界が広がっていた。現代はモノが豊かになりすぎて、心が忘れられてはいないか。賢治ワールド・文学の世界・人間の心、こうしたものを観光の核に据えて花巻観光は新たな局面に入っている。


 

■電線地中化チェックもれ

 花巻視察を終えて、花巻駅までの車中から花巻の中心商店街を眺める。割とすっきりしているなと思う。運転の職員が「電線の地中化については〜」と解説をしてくれて、そういえば電線がない!しまった!島原森岳で今一番の課題なのにチェック漏れだ。次の予定がなければ、車を止めて30分でもと思うが、後の祭り、あわてて車の中からシャッターを切ってむなしく花巻の商店街を後にした。

 分かっていれば、前の晩なり早朝なりチェックに行ったものを!まあ団体行動だし、又の機会ということで、花巻市職員の方の名刺を大切に保管した。

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