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■さあ出発だ    

 市議会は10人乗りの車を持っている。いつもは議長車を運転している松野さんの運転で、早朝市役所を、坂本さんと私で出発(どしゃぶり)。安中方面に向かう。まず前田徳一用地管財課長、(新人課長も参加する慣例になっているようだ。)続いて霜田副委員長を拾い、引き返して野田委員長、内田豊委員、そして松井議長(中川副議長は不参加)。

 この中でおそらく旅行中一番頼りになるのは(委員長でも、はたまた議長でもなく)切符などスケジュールを把握している坂本事務局であるのは言うまでもない。慣れない手つきで携帯電話に坂本さんの番号を入力した。頼りの坂本さんが捕まらない場合の次に当てになるのは内田豊さんだ。

【回想シーン】
 嵐の吹きまくった6月初議会。会期半ば総務委員会の夜、総務委員会懇親会という飲み会があった。総務委員の6人と関係各課の課長課長補佐が集まるわけだ。議場を出た新人松坂は再びバンダナをまいて参加した。野田委員長も松井議長も中川副議長もそして何人かの課長さんもバンダナを頭にまいて歓迎してくれた。課長さん課長補佐さんの名前を覚えながら杯を持ってぐるぐる回って、前後左右上下不覚に陥って、気がついたら内田豊さんに自宅まで運んでもらっていた。

 内田豊さんの携帯番号も入力したのは言うまでもない。迷子対策万全。長崎空港で松野さんに見送られて、七人の侍は飛行機に乗った。

 飛行機嫌いの私はここで覚悟を決めた。南無阿弥陀仏アーメン。羽田行きの機中。いい男から声がかかった。「松坂さん議員になったんですね。新聞見てびっくりしました。」見ると商店街イベントで何度かお世話になった日本一のチンドン屋「長崎のかわち家さん」ではないか。東京でチンドン屋の大会があるという。かわち家さんは「青い理髪館」立ち上げの時・「がんばスタンプ」スタートと応援に駆けつけてくれた大変おめでたい縁起の良いチンドン屋さんだ。地獄(飛行機)で仏とはこのことだ。

 雨の長崎だったが、雲の上に昇ると、空は真っ青である。視察レポートも青草子に載せるぞ!(実はこの時点で青草子1号は印刷屋さんに発注済)

 東京は晴れ。羽田からモノレール、学生時代を東京で過ごした僕には懐かしい風景が展開する。浜松町・田町・・・東京で東北新幹線に乗り換え。

■東北へ

  弁当を調達する坂本・前田両氏

 2階建ての新幹線やまびこは1階で窮屈だ、目の高さがプラットホームの高さで、走り出しても防音フェンスでほとんど風景は見えず。グリーン車じゃなかったのか・・・・。でも飛行機よりはいい。飛行機より良いがそれでも新幹線のスピードは僕には速すぎる。もう少し遅いスピードの方が旅の風情というものだ。高級な(ゆえに小さい)弁当とお茶とビールが支給された。

 そうか今日は移動だけだった。安心してビールをあけ、歓談の合間は宮沢賢治の世界に入る。『注文の多い料理店』などいくつかの短編、なかなか良いね。せかせかした日常生活の中ではなかなかこうした非現実の童話には、入り込めない。

 そして『銀河鉄道の夜』。鉄道の旅にふさわしい。

  銀河鉄道の夜。主人公ジョバンニは病気の母親がいる。学校帰り、級友たちは祭りの方に向かう、(その中にいつも自分をかばってくれる裕福な友人カムパネルラもいる)逆方向にすれ違ったジョバンニは印刷屋さんに立ち寄り活字を拾う。受け取った小さな銀貨を一つを握りしめ牛乳屋さんに向かう。病気の母親に飲ませるためだ。(私はこうした場面に遭遇すると泣きそうになる。)あいにく牛乳屋さんが不在でしばらく土手に座っているうちに目の前に不思議な汽車が留まる。気がつくと車中の人になっているジョバンニ。銀河鉄道の旅の始まりだ、いろんな乗客が乗り降りして、そこにカムパネルラも乗り合わせてくる。・・・

 北上で乗り換えて東北本線、花巻(温泉)に向かう。北上川を眼下に、芭蕉『奥の細道』の中のいくつかのフレーズが、耳にする歴史的な地名から連想される。うーむ、旅気分。

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