市議選レポート1はじめに

当選してしまえば、街頭演説(辻立ち)を主体とした選挙戦は正しかったことになる。

選挙カーによる名前の連呼をしなかったことも、票を集めた勝因である。お金をかけなかったこと、(お金がなかったこと)、お酒を出さなかったこと(お酒を出すことは、本来選挙違反だけれど、各自が持参した酒を事務所で飲む分にはおとがめが無いなど、抜け道は色々ある。)、立候補の決断が遅かったために、十分な準備が出来なかったことさえ、短期決戦で集中できたなどと、全てがいいように解釈される。

 落選していれば、「だから後援会の看板(40センチ*150センチ)をあちこち立てろと言ったろう。」「選挙カーを出さないことは島原じゃ無理だったのだよ。」「町内会や商店街の組織を作って炊き出し割り当てをして、日当も出すべきだったのだよ。」「島原新聞の広告も出せと言ったでしょうが。」「個人演説会は無意味と言ったでしょう。」「名簿の整理が遅すぎたのサ。」「名前の連呼だよやっぱり。」「ホームページなんかでカッコつけてもダメだったのサ。」「1市16町対等合併はもう少しぼかして言えと言ったろう。」「公報も誰も見なかったってことさ。」「だいたいそのバンダナがいけなかったのだよ。」「結局カネがなきゃダメさ。」「そもそも松坂の普段の行いだよ、要するに人望がないのだよ。」敗因は山のようにある。

 市議になるのが目的であるから、選挙はどのような方法でも良かったのだけど、主に経済的理由と、やはり私の中にある「政治と選挙は別のモノではない。」という考え方である。

選挙戦に入るまでは、随分悩んだり揺れたりしたのだが、私が後悔しないで済むようにと、百出する方法の中から、最後は私が判断をし、選択した。そしてそれを大筋において変更せずに貫いた。その一方で改善できる点は、極力改善し最良の方法をとる姿勢を捨てなかった。私は今後の若い人たちの参考にしてもらおうと、又自分の反省の材料にするために、なるべく具体的に選挙戦をレポートしようと思う。


レポート2  開票状況(山は動いた!)
(月光堂小川君がレポートを掲示板に寄せてくれたので、コピーします。)

松坂さんおめでとう!
   
山は動いた!見事初当選をしました。しかもなんと2位!1位にわずか25票差でした。世の中変わ
るんですねえ。ありきたりの市議選に異義を唱えた市民の声が多かったんですね。本人はおろかスタ
ッフ、応援者はまるで素人ばかり。「票読み」どころか組織も何も持ってませんでしたからねえ。開
票速報を見に選挙事務所に来てたひとたちはほとんど(全員と言っていいかも?)『あれだけ頑張っ
たけど残念やったね』とか『ビリでも当選してよかったね』の言葉を用意してテレビを見ていました。
最初の発表は100票‥‥よしよしまだ差をつけられていないぞ!みんながそんな目でテレビを見て
いました。そして22:30の中間発表「850票」はなんとその時点でトップでした。しかもその
票は「前回の当確」ラインを越えた数だったのでアナウンサーの発声と同時に大歓声がおこりまし
た。(鳥肌がたったばい)そして次の開票率93%の発表では奇跡の1600票!もう1人の新人候
補と同じく1位をキープしていました。最終得票数は1位に25票差のどうどう2位の当選でした。
組織票を持たない僕達は「だれがこんなに入れたんだろう」と信じられませんでした。どこの陣営も
この予測はできなかったそうです。そりゃそうでしょう。僕ら仲間が全員スレスレの当落と思ってい
たのですから。でも市民は期待できる良識派を待ち望んでいたんですねえ。金権政治はもうイヤ!あ
たりまえのことをやって!って思ってたんでしょうなあ。島原人も見捨てたもんじゃなかばい!
4月にはおとなり諫早の市議選でぼくら森岳まちづくりの会と仲間の「有喜(うき)のさざなみ会の
メンバーがやはりトップ当選をしたと言って今回の激励に来てくれました。諫早人も見捨てたもんじ
ゃないってことは日本全国そういう「時代の流れ」になってきたんですなあ


レポート3 選挙運動と政治活動

選挙運動は告示の日届け出を済ませてから投票日までの1週間に限られる。
選挙運動のための準備(ポスターを作ったり。はがきを準備したり)だけが
選挙期間前に許された事前運動であり、対外的な投票依頼行為は全て違反である。
実は、選挙運動は投票日前1週間だが、政治活動は一年中いつでもしていいわけであります。
選挙に金がかかり過ぎないようにとの配慮から、選挙は期間を区切り、費用の上限を決めてある。
政治活動は、どうしても選挙運動につながりやすいから、政治活動の中で選挙に関わる行為は
一部例外を除いて制限がされている。

こうしたルールも何も知らないまま、
告示まで1ヶ月の4月上旬、突然立候補を決意したわけであります。
商店街仲間のひとりの強い推薦。1市5町決裂後、突然の1市1町の謀略への怒り。
加藤逮捕後の無節操な候補擁立劇。楠さん正義の戦い。
いろんな出来事が絡み合って決心は強くなったのでありますが、
妻を説得したのが、楠さん敗色濃厚の中4月上旬。親をようやく納得させたのが
立候補予定者説明会4月18日の前日でした。

立候補することが目的ではなく、当選して市議になることが目的だから、
全く準備無しでの思い立ちでもあり、様子を見て無理なら、届け出はしないと
いつでも取り下げ覚悟で説明会に臨んだ。

選挙の事前運動として違反しないために、政治活動のための「松坂まさお後援会」
を作って早速振興局に届けた。よく選挙1ヶ月くらい前になると、あちこちからしおりや
パンフレットが届くわけですが、これは政治家たちの日常政治活動のひとつであります。
パンフレットには、「市議候補」とか「清き一票を」とか書くと政治活動ではなく選挙運動
と判断され取り締まりを受ける。
 だから、選挙のことに触れない範囲で、政策やらスローガンを並べ、顔と名前を売って
後援会申込書とか、後援会入会紹介カードを添えるわけであります。資料には
政策検討資料などと書くわけですが、立候補予定者説明会に参加した時点で各新聞各社は
こぞって顔写真まで撮っていき、翌朝には立候補予定者として掲載されるから、パンフレットに
立候補予定とか、書かなくても、パンフレットを受け取った有権者は、政治家たちが
日常の政治活動をしていても、ああ選挙が始まったなあと解釈するのであります。

「後援会」の作り方は簡単で、島原振興局の地域振興課に問い合わせて
書類を二枚ほど作って後援会会長やら、会計担当やら決めて認め印を押せば
二〜三回のやりとりで簡単に出来上がり。松坂の場合、父親を代表者に
妻を会計責任者にしたわけです。(本人でもいいらしい。)
これって政治資金規正法とか、政党助成法につながるもので、莫大な寄付金や
パーティー券とか扱う政治団体のためのモノ。市議会議員レベルではほとんど関係ないみたいだけど、まあ念のため政治団体を作って、その「カネの流れ」を明らかにしておこうという
主旨であります。

ともかくも、新聞に立候補予定者として名を連ねた松坂まさおは
選挙運動ではなく、政治活動を開始するわけであります。
ただしお金はない。

レポート4 作戦会議

親を説得したその晩4月17日、明日は立候補予定者説明会という時に、近しい人たちに急な招集をかけた。来てくれた十数名のうち半数近くは事前に相談はしていたモノの、聞きつけて飛んできた者もいた。場所はわかば写真館2階奥(学習塾アシストの教室である。)

公約・マニュフェスト・選挙方法の原案資料を、私の方で準備した。

公約案は

1.島原半島は一つ

2.中心街の活性化

3.また来たくなる島原

4.開かれた議会

5. 環境を考えた優しい街

選挙運動案については

お金を使わないでも、議員になれることを証明する。

その収支を公開する。

ポスター(内容・バンダナははずさない・誰が貼るか)・はがき

事前配布チラシ・応援者カード?

事務所:わかば2階

選挙公報(今年から出る!)

選挙カーは出さない。

インターネットの駆使などなど

・・・・・ありがたいものである。選挙を全く知らず、立候補した人間のために議論百出。皆真剣に当選のための作戦を考えてくれた。

ところが(多数決ならば)皆の総意と私の思惑とは大きく離れていた。簡単に言えば、「従来型の選挙VS新しい選挙」である。別の言い方があれば、「勝つための現実的な選挙VS理想選挙」。「金のかからない(金をかけない)選挙」についても大きな認識のズレがあった。私の言う金をかけないというのは「全然金をかけない」ということで、お金がない者には当然の選択なのに、金は法定費用(約290万円)内で納めそれ以外でかかる費用は極力少なくしようなどという考えで反論された。

もちろん私が違反まがいの(法律違反ぎりぎりの)金を使うなんて考えてもいないのは、皆さんよく分かってくれているが、選挙に出るのに、いくらかの(数百万単位の)貯金ぐらいは当然用意しているだろうね(又は、借金の覚悟はあるんだろうね)という感じである。私が貧乏なことを知っている人たちは(しかも選挙は金がかかると思っているのか)カンパまでしてくれた。

例を挙げましょう。
政治活動の中で、選挙の候補者を類推させるような掲示物は禁じられている。
ただし(市議選の場合)40センチ×150センチ以内の看板12枚までは、例外的に認めている。つまりの政治家の連絡先が分かる程度なのでしょうか。政治活動の届は振興局なのに、この看板は選挙運動ではなくて政治活動だというのに選挙管理委員会に届けて「証票」を受け取って、掲示しなければならない。政治活動と言いながら実質的には例外的選挙運動だからだろう。
 この看板が、皆さんご存知のように何故か、ちまたにあふれ、選挙直前にピークを迎えるのであります。畑の真ん中に5枚も6枚も○○一郎・△△太郎連絡所が並ぶわけです。看板屋さん次第ですがこれが約1万5千円。12枚出せば18万円也。これは選挙外の費用であります。
 私の知名度が低いことを心配して、「看板を出せよ。金がなければ俺が出してもいい。」という、ありがたい話まである。丁重にお断りした。

政策を訴えるだけでなく、一方通行にならないよう後援会紹介カードで応援者をリストアップし、個別に対話をしていくという、従来型の選挙の「集票パターン」は受け入れた。公営はがきといって、市議選の場合2000枚に限って送料が無料で投票依頼のはがきが発送できるのである。だから(おそらく)どの陣営も、この名簿づくりに力を入れるわけであります。(これが票読みの基礎だから)これは真剣に取り組んだのでありますが、準備不足の短期決戦で、スタッフ懸命の追い込みにも関わらず、万全のデータは出来上がらなかったのであります。

政策は訴えるべし、公約は歯切れ良く3つに絞り「正直がいちばん」のキャッチコピーを入れよう。これを分かりやすく、公報にも・はがきにも・ポスターにも繰り返そう。

問題は選挙カーであります。選挙カーについてはそれこそケンケン諤々、選挙カーを出さないという結論までの道のりがなんと長かったことか。


レポート5 選挙カー

政策を訴えることが大事で、移動手段であるはずの選挙カーに「連呼」を許すことは(公選法では、例外として認めている。)意味がない。やかましいだけ。まちなかでは(とくに商店主たちは)車に乗りたがらない。最大の理由は金がない。

いきなり選挙カーを使わないと宣言したものだから皆の猛反撃を受けた。どうやって名前を浸透させるのか?!何もしないのか!と。選挙カーを出さないというと「何もしないのか」という反応には辟易した。私はむきになって街頭演説・辻立ちをやると説得したが、選挙カーを出さないことは選挙運動をしないことと断じる男どもに内心「バカヤロー」と思いながら、少なくとも選挙に勝つために真剣に私に忠告してくれているのが分かるからじっと我慢して話を聞いた。

問題は選挙カーを出せばお金が支給されることである。車のレンタル料金(1日15300円)運転手の日当(1人分1日12500円)ガソリン代(上限1日7350円)計1日35150円が支給されるのである。当然気のいい仲間が[俺の車を貸してやるレンタル料金は寄付するからそれで看板やスピーカーをつけてはどうか]と提案をする。

しかし、お客さんの手前車に乗るのは遠慮したい、自分は忙しいから確約できないなど、怪しい雲行き。自分の人徳の無さが暴露されてゆく。というより私たち商人はホントに余裕が無くて、とても1週間選挙にハマルなど考えられないのである。日当を出す出さないの問題ではない。自動車を出すためにかかるエネルギーを考えると気が遠くなってきた。費用も結局かさむ一方だ。延々と皆の「車を出せ!」「車無しでは負ける」が続く。最も説得力があったのは、当選経験も落選経験もある布津町議H君である。曰く「理想の選挙をやるのではない、勝つための選挙なんだ!」

わかっとるわい、誰が選挙に出て、意見さえ言えればいいなどと思っているモノか!意見を言うだけなら今だって言っとるわい!勝つために選挙カーを出さないといっているだろうが!出遅れている自分が、他の候補と同じやり方で勝てるわけがないではないか。しかも経験が無くて、人の寄せにくい街中での立候補なんだぞと、言葉を選びながら説得するが、ついつい言葉が荒くなる。例によって皆の説教が始まる。

「松坂の悪い癖だ、ちゃんと話を聞け!」「人が好意で言ってくれているのに、何で反論するか!」「法律で認められているってことは、それが一番の方法だからなのだよ。」などなど。

中学生の娘が名前の連呼はイヤだといったから、立候補にあたって子供に約束したんだと言うと、「大人が決断するのに子供の意見を聞くのか!」「名前の連呼を、押さえたらいいじゃないか。」どんどん選挙カーに接近していく。(ただし、「俺が選挙カーと人員の手配をするから任せろ」の言葉は出ない。)大勢は選挙カーになってきた。

全体が重苦しくなって、押し黙ってしまったイトコ(の子)のY子に発言を求めた。「まさおさんらしさがない」と、ぽつん。続いてT君が「松坂は変人で通っているから、変人のままでいいのでは。」「自分は素人で分からないけど、松坂さんらしいのがいいと思うけど、現実は違うのかなあ。何か寂しいけどそれが現実かな。」とKくん。H君再び勝つための選挙を説いて、「最終決断はまさおさんがしなければダメだよ。」と。

大多数を納得させることが出来ないまま、私は少数意見を尊重した。3人の発言には心打たれるものがあった。大多数の意見は一般論で、私という個人を考慮していないのに比べ、3人は松坂まさおらしい選挙像を描いていた。ともかくも「選挙カーは出さない!」と断言して最初から作戦会議は波乱含みだった。

レポート6 選挙カー2

名前の連呼は意味がない。うるさいばかりでうんざりだ。どうしても学校や病院に迷惑をかける。昼間寝ている夜間勤務の人だっている。選挙カーで票は捕れないが選挙(スタッフ)を盛り上げる効果がある。とにかくタダで車が使える。
 選挙カーについてはその後も(最初に会議に参加した人でさえ)復活の動きがあって苦労した。実は人員配置が難しければタクシーを雇うことも可能なのだ。ガソリン運転手付きで1日64500円の公費が支給されるのだ。イトコにタクシードライバーもいるから、街頭演説主体で効率よく移動するならこれに限る。
 ところが、私たちがそうであったように「え〜っ、タクシー代も出るの?!」と会議の席は騒然となった。タクシー使っている候補はすごい金を使っていると思っていたというのである。タクシー(選挙カー)代は自己負担ではない事を告知しなければ金をかけた選挙と思われる、かといって「車代は公費である」と触れて回っては「税金を使って騒音を垂れ流しているのか」と批判され、他の候補からも嫌がられるだろう。
 選挙カーに公費補助があっていることを知る人は少ないのだから、なるべく安っぽい小さな車を借りてスピーカーは付けず、名前だけ大書して移動用車にしようなど妥協案が出てきた。

T君が言った。「車代を寄付させて看板にするというのは一般市民からすれば結局税金を目的外に使う流用でしかない。1日何万円か貰えるからといって策を弄するのは、それこそ松坂らしくない。中途半端はやめよう。」と。貧乏な私にはのどから手が出るような何万円かであるが、ここに至って私はようやく確信が持てた。選挙カーは出さない!

朝日新聞島原販売店が出しているチラシ(北の風15号4/29)に以下のような投書が載っていました。「・・・立候補される方々の“名前のみの連呼”は、害あって一利なしかと思います。廻りの意見も同様だと思います。前回の市議会議員の立候補者が近所の駐車場で意見を述べられましたが、私たち家族はテレビを消して、家の中より耳を澄まして聞きました。家の外には出ずに失礼しましたが、実に立派なご意見に感心しましたし、その方は、得票を伸ばされ、上位で当選されました。有権者は真面目な方を望んでいるのです。理由があり個人演説会には行けない者も大勢います。ただ“名前のみの連呼”は無意味だと思います。」(城内一主婦)

このオレンジ色のチラシは私の不安を和らげてくれた。もちろん4年前の選挙で選挙カー無しの候補はいなかったわけで、街頭演説主体の候補の事でその候補は場面次第では車からも手を振っていたのだろうが、有権者は政策を訴える姿(その政策の内容)を判断基準にしたわけだ。  
  こうして私の選挙戦のイメージはかたまっていった。